アニメ「灯しびと」、主人公役に声優・芦原颯さん 「次元調査面の記事を読み込んで役に入った」
灯火アニメーションは25日、既報(9月10日発表)の来春放送の新作アニメ「灯しびと」について、主人公役に声優・芦原颯さん(24)を起用すると発表した。会見で芦原さんは「本紙の次元調査面の記事を読み込んで役に入った」と明かし、戸田輪記者の記事を実際の参考資料にしたことが分かった。
■ 「近日発表」から1カ月半
既報(9月10日)のとおり、灯火アニメーションが発表した新作アニメ「灯しびと」は、次元調査課が第7系統と呼ぶ世界線の観測対象「灯しの街」を下敷きにした完全新作で、来春からTCTの土曜夕方枠で放送される。主人公の声優は当時「近日発表」とされていたが、25日、京橋の本社で会見が開かれ、デビュー5年目の若手声優・芦原颯さん(24)の起用が正式に発表された。芦原さんにとって、連続ドラマの主演級の起用はこれが初めてとなる。
■ 「記事が、そのまま台本の行間になった」
会見で芦原さんは「オーディションの話をいただいたとき、正直、灯しの街についてほとんど知らなかった。それで本紙の次元調査面を、発表されている記事をさかのぼって全部読んだ」と明かした。「戸田輪記者の記事に出てくる、窓番の日誌の引用や、灯りをともす『式』の描写が、台本の行間を埋める手がかりになった。観測記録と完全な創作の境目を、自分の中でどう引くかを考えるときに、記事の『分からないことを分からないと書く』という姿勢が参考になった」と話した。
本紙の次元調査担当・戸田輪記者は取材に「自分の記事が声優さんの役作りの参考になったと聞いて、正直に言えば少し怖いような気持ちもある。向こうの世界を、分かったふりで描いていないか、常に自分に問いながら書いているつもりだが、それがどう伝わるかは読む側次第だ」とコメントした。
■ 呉羽監督「等身大の少年の声」
既報どおり、物語は灯りをともす仕事を代々受け継ぐ少年が主人公。呉羽監督は「オーディションでは、観測資料の挿話をイメージした芝居より、等身大の少年の声を探していた。芦原さんの声には、気負いすぎない素朴さがあった。向こうに実際にどんな社会があるのか、我々には分からない、という企画の出発点にいちばん近い声だと思った」と選考理由を述べた。
■ 芦原颯、デビュー5年目の飛躍
芦原さんは5年前にデビューし、これまでは脇役や群像劇の一部を中心に活動してきた。今回の起用について「正直、自分に務まるのか不安はある。ただ、次元調査面を読み込んだときに感じた『分からないことを分からないまま受け止める』という姿勢は、役を演じる上でも大事にしたい」と語った。所属事務所の担当者は「地道に経験を積んできた芦原にとって、この規模の主演は大きな一歩。本人も次元調査面の記事をファイルにまとめるほど読み込んでおり、現場でも資料として共有している」と話す。
■ 主題歌・残りのキャストは「調整中」
会見で、主題歌と脇を固める声優陣については「調整中」として明らかにされなかった。灯火アニメーションのプロデューサーは「主人公が決まったことで、現場の制作が本格的に動き出す。残りのキャストも、作品の世界観に合う声を丁寧に探していく」と話した。
■ TDA「今回も公開資料の範囲内」
TDA次元調査課は、既報どおり本作への公開済み観測資料の使用を許可した立場に変わりはないとし、「声優の起用そのものについて当課がコメントする立場にはない」と述べる一方、「実在の観測資料が、こうして次の創作の入り口になっていくのは、担当者として素直に面白いと思う」とのコメントを寄せた。
■ ファンの声、「あの記事が、まさか」
次元調査面の記事を切り抜いてファイルしているという、既報(9月10日)の会見にも足を運んだ学生ファンは、今回の発表についても取材に応じ、「主役の声優さんまで記事を読み込んでくれていたなんて、まさか思わなかった。放送がますます待ちきれない」と声を弾ませた。「灯しびと」は来春、全12話で放送される。主人公の少年の声に、次元調査面の記事を読み込んだ24歳の声優がどんな「等身大」を吹き込むのか、放送開始が待たれる。



