瓜二つの二人、二度目の対面 今度は同じ食卓を、言葉のないまま
既報(16日)の「瓜二つの二人」——揺らぎで流れ着いた言葉を持たない男性と、顔写真が瓜二つだった区内在住の会社員男性(37)——が、25日夕、TDAの立会いのもと二度目の対面を行った。前回は数分間の身振りのみで終わったが、今回は職員が用意した同じ食事を、二人で2時間近くかけて食べた。会話は今回も成立しなかった。
■ 「次は、一緒に何かしてみては」
既報(16日)のとおり、15日未明に深川沿岸で保護された言葉を持たない男性(漂着民、推定30代〜40代)と、顔写真が瓜二つだった区内在住の会社員男性(37、氏名非公表)は、16日に数分間の初対面を終えていた。TDAによると、その後も男性(会社員)から「一度きりで終わらせたくない」という申し出が複数回あり、職員が「対話が成立しない以上、何か一緒にする時間を作ってみてはどうか」と提案したのが、25日の二度目の対面につながった。
■ 同じ食事を、2時間近く
25日午後6時すぎ、施設内の食堂で、職員が用意した同じ献立を前に二人が着席した。立ち会った職員によると、最初の20分ほどは互いに視線を合わせず黙って食べていたが、男性(漂着民)が自分の皿の一品を指し、男性(会社員)の皿を見比べる動作をしたのをきっかけに、残りの品を半分ずつ分け合うような仕草が自然に生まれたという。「言葉は一度も出なかったが、箸の動かし方で『もういいか』『もう少し食べるか』をやり取りしているように見えた瞬間があった」と職員は振り返る。対面は当初の予定より長く、2時間近くに及んだ。
■ 会社員男性「気味悪さは、形を変えた」
対面後、男性(会社員)は匿名で本紙の取材に応じ、「最初に対面したときの気味悪さは、正直まだある。でも今回は、気味悪さとは別の感情も混ざっていた」と話した。「あの人は、自分と同じ顔をした、まったく知らない人だ。それなのに、皿の取り分け方なんかが、妙に自分と似ている気がしてしまう瞬間があった。それが嬉しいのか、気持ち悪いのか、自分でもまだ分からない」と言葉を選びながら語った。TDAはこの発言について「本人の受け止め方として、そのまま記録している。TDAとして評価や解釈は加えない」とした。
■ 男性(漂着民)の様子、「拒んではいない」
職員によると、男性(漂着民)の側にも明確な拒否や苦痛の様子は見られず、対面の終わりには自分から軽く頭を下げる動作をしたという。帰化・氏名選択を含む今後の処遇手続きは既報どおり進行中だが、言語の手がかりが無いため通常より時間がかかる見通しに変わりはない。TDAは「対面を重ねることが、手続き上の進展を意味するわけではない。あくまで本人同士が望む限りで続ける」と説明する。
■ 血も、言葉も、繋がらないまま
既報どおり、両者に血縁関係は確認されておらず、指紋も一致しない。骨格の計測値のみが近いという結果に変わりはなく、男性(漂着民)が所持していた革の巾着と金属の環は暫定第153系統として登録されたままで、出自の手がかりは増えていない。TDAは26日、「見た目が近いことに、特別な意味を読み取ろうとはしない、という姿勢は変わらない」と改めて述べた。
■ 三度目は、まだ決まっていない
男性(会社員)は「次があるかどうかは、まだ自分の中でも分からない。でも、今回で終わりにしなくてよかったとは思っている」と話した。TDAによると、三度目の対面の予定は今のところ無く、男性(会社員)からの申し出があれば改めて検討するという。顔がなぜ似ているのか、男性(漂着民)がどこから来たのかは、今回も何も明らかにならなかった。二人の関わりがこれからどうなるのかも、解明されないまま温存される。



